身近な相続・遺言相談室 第5回「遺言を残した方が良い事例」
今回は年齢に関係なく、遺言を残した方が良いと思われる事例を述べましょう。
遺言を書くというと、まだ早いとか、死を間近にしないと書けないという方が多いですが、遺言は遺書ではありません。遺言は書くべき状況が生じた時に書いておくものなのです。
例えばお子様のいないご夫婦でお互い両親も他界し、兄弟姉妹や甥姪がおる場合、一方が亡くなると、残された方が相方の兄弟姉妹や甥姪と相続について話し合いをしなければなりません。普段めったに会うことの無い方々と遺産について話すことはそう簡単にできるものではないでしょう。この場合は遺言で、「妻(夫)にすべてを相続させる」と残しておけば兄弟姉妹や甥姪には遺留分がありませんので、100%遺言内容が実行されます。
また、例えば夫が再婚のご夫婦で、夫には前妻が引き取った子がおる場合、夫にもしものことがあったとき、特に財産が不動産のみというケースで確実に不動産は現在の妻が相続できるようにしたい、という場合も夫に遺言を残してもらえば実現可能です。もちろん前妻との子の遺留分は考慮しなくてはなりません。この遺留分については預貯金か、もしくは生命保険に加入して、妻が受け取れる死亡保険金を代償金に活用するという方法があります。
その他まだまだ遺言が必要な事例をあげたいところですが、実際遺言があればもめなくて済んだ、相続手続きが楽に進んだというケースは本当に多いです。自分の大切な家族や親族、あるいは晩年お世話になった方に確実に自分の財産を残したいのであれば遺言の活用を検討されてみてはいかがでしょうか?
身近な相続・遺言相談室 代表相続法務指導員 川島幸雄